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豪州は住宅価格を抑えながら超低金利で景気の腰折れを回避 / 豪州REITは好調

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豪州は超緩和政策

オーストラリアの政策金利は過去最低の1.00%まで低下しています。

その為、豪ドルは軟調な推移で、1豪ドル=75円台となっています。

オーストラリアは27年間リセッション(景気後退)を経験しておらず、経済が強い国として知られています。

現在のオーストラリアはここまで金利を下げないと厳しい状況なのでしょうか。

まずは代表的な経済指標として実質GDP成長率とインフレ率を確認してみます。

オーストラリア実質GDP成長率・CPI・政策金利チャート

実質GDP成長率・インフレ率ともに低い水準ではありますが、両方とも過去に経験したことのあるレベルです。

現在は政策金利が実質GDP成長率とインフレ率を共に下回っており、これはこれまでになかった動きとなっています。

かなり強めの金融緩和といえます。

では何故そこまで緩和を行う必要があるかということになりますが、理由は住宅価格の下落です。

豪州の住宅価格は下落トレンドだが想定の範囲内

オーストラリアの住宅価格は2017年末をピークに下落トレンドとなっています。

こちらはオーストラリア中古住宅価格指数の推移です。

オーストラリア住宅価格指数チャート

1年半で約10%の下落です。

過去、住宅価格が上がり過ぎたことでオーストラリア人が住宅を購入しずらくなっており、当局が意図的に価格を抑えている部分があるものの、急激な不動産価格の下落は景気全般にも悪影響を与えるので注目されています。

確かに上記のチャートでは約16年間で3倍になっていますので確かに上がり過ぎているように感じます。

政府と中央銀行は融資規制等で住宅価格を抑えながら利下げを行い、景気の腰折れを防ぐ政策運営となっています。

これ自体はコントロールできているのでそれ程、心配は必要なさそうです。

住宅価格が下落でも豪州REITが堅調の理由

過去1年半、住宅価格が下落している中でも豪州REITは右肩上がりで推移しています。

豪州REITチャート

指数の推移ではリーマンショック前の高値を回復できていませんが、トータルリターンでは下記の通り、かなり高いパフォーマンスとなっています。

豪州REITトータルリターンチャート

住宅価格が下落している中でもREITが上昇しているのは、もちろん利下げの影響もありますが、それ以外に豪州REIT特有の2つの理由があります。

  • 豪州REITは住宅の割合がほぼゼロ
  • 海外物件が多く、豪ドル安がプラスに寄与

豪州REITは住宅の組入が1%未満です。

住宅価格は下落していますが、REITに組み入れられているオフィスや商業施設は比較的堅調に推移しています。

また、豪州REITはオーストラリア国外の物件の組み入れ比率が比較的高く、豪ドル安がプラスに作用します。

これらの理由で、豪州REITは堅調な推移となっています。

今後も余程の混乱がない限り、堅調に推移しそうです。

トータルリターンチャートを見ても長期投資に向いている資産クラスと言えそうです。

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