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ゆうちよ銀行の限度額を2,600万円に増やしてどうするつもり?他の銀行はラッキーと思っている

ゆうちょ銀行の預入限度額が1,300万円から2,600万円に増加されるようです。

もっと預けたいと思っていた人にとっては利便性が向上するので良いでしょうが、ゆうちょ銀行にとって本当に良いことなのでしょうか?

ゆうちょ銀行は「銀行」という名称がついていますが、本来の銀行の機能はほとんど有していません。

「銀行」の本業は融資業務であり、「資金ニーズのある借入人」と「資金に余裕のある預金者」の仲介役となり、世の中の資金を円滑に循環させることで経済成長に貢献します。

融資業務以外では振込みや投信販売などの手数料ビジネスもありますがメインではありません。

さらに集めた預金の内、融資を行った後の余剰資金は株式・債券・REITなどマーケットで運用を行います。

ゆうちよ銀行の場合は本来、銀行の補完的業務である余剰資金運用が本業となっています。

2018年3月のゆうちょ銀行の総資産は210兆円ありますが、貸出金は6兆円のみで残りは全て有価証券運用です。

ゆうちょ銀行は数年前から外部の人材を採用し、運用の多角化を行っています。

現在は国債など安定資産が中心のポートフォリオですが、株式・外国証券オルタナティブ資産の比率を時間をかけて増やしていく方針です。

つまり、ゆうちょ銀行の実態は銀行ではなく「投資ファンド」といって良いでしょう。

現状のポートフォリオでリスク性資産は株式が2.2兆円、オルタナティブ(ヘッジファンド・PE・不動産))が1.4兆円です。

また、外国証券が59兆円ありますが、こちらはかなりの部分が為替ヘッジされていると思われます。

ただし、足元のヘッジ外債は為替ヘッジ後では利回りがほとんどないか、マイナスとなる環境です。

オルタナティブ(ヘッジファンド・PE・不動産)は2021年3月期に8.5兆円とする目標を掲げており、足元積極的に投資しているものと想像できます。

しかし、経常利益が3,000億円~5,000億円のゆうちょ銀行が8.5兆円もオルタナティブ投資を行っても大丈夫なのでしょうか?

株式と併せると10兆円以上です。

多少のマーケットの調整であれば問題ありませんが、リーマンショック級の混乱があると一気に数兆円の損失が出そうです。

ゆうちょ銀行は純資産が11兆円前後ありますが、数兆円規模の損失は経営基盤を揺るがします。

そして、限度額が2,600万円となるとゆうちよ銀行の総資産が一定割合増加します。

その分、リスク資産への投資も増加することになります。

よって、限度額の拡大はゆうちょ銀行の業績のボラティリティを高めるだけです。

更にゆうちょ銀行の運用ノウハウも心配です。

数年前までリスク資産の運用経験がないので外部から人をかき集めているようですが、ガバナンスが心配です。

先日、運用部門の最重要人物が退職しています。

最後に、限度額の拡大に関してメガバンクや地銀は表向き反対の意見を表明していますが、本当はラッキーと思っているのではないでしょうか。

1990年代と違い、どの銀行も預金超過です。

メガバンクの預貸率は50%前後まで低下してます。

預金を預かると預金保険料がかかるので、どの銀行も本音としては預金が少し減って欲しいと思っています。

2018年度の預金保険料率は0.034%です。

ゆうちょ銀行の現在の貯金金利は通常貯金の金利が0.001 %、定期貯金が0.01 %です。

よって、この金利で貯金者からは資金調達できるのですが、実際の調達コストは預金保険料がプラスされます。

貯金金利より預金保険料の方が圧倒的に高いのです。