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ブラジルレアル急落、株式・債券も下落しトリプル安/大統領の汚職問題(2017年5月)

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2017/5/18、テメル大統領が汚職事件で逮捕されたクーニャ前下院議長に口止め料を支払うことを承認していたとされるスキャンダルが報道されたことで、ブラジル市場は株式、債券、通貨がすべて売られトリプル安となりました。

  • ブラジル・ボベスパ指数:-8.8%
  • ブラジル10年債利回り:利回りが1.8%上昇(債券価格は下落)
  • ブラジルレアル:対米ドルで-6.8%

大統領が辞任、弾劾され政局が不安定になるリスクを織り込んだ動きで、一日の動きとしては大変大きなものになりました。

その後はややリバウンドしていますが、この問題が今後どのように収束するかはまだ分からない状況です。

ブラジルレアルは1ドル=3.10レアルが3.37レアルまで売られ、現在3.25レアルまで戻っています。

ブラジルレアルの対ドルレートは2016年1月に1ドル=4.15レアルまで売られた後、回復基調で1ドル=3.10レアルまで戻っていたところでした。

では今回の問題で再度、下落トレンドになるかというとそうではないと考えられます。

2016年前半のブラジルを取り巻く環境はオリンピックを控えていたにもかかわらず最悪でした。

  • インフレ率が10%を超える水準まで上昇
  • 実質GDP成長率がマイナス成長(しかしインフレ率が高く金融緩和できず、逆に利上げ)
  • 財政悪化による国債格下げ
  • 政局不安(結果的にオリンピック直後に大統領交代)

このように悪材料が4つ重なったことで1ドル=4.15レアルまで売られました。

今回、再度、政局不安のリスクが台頭してきたわけですが、インフレ率はすでに4%台まで低下し、大幅な利下げが可能となったことで景気回復の期待も出てきています。

財政問題も赤字縮小に取り組み始めています。

よって2016年のように悪材料が複数重なっている状況と比べるとそこまで悪い環境ではないと思います。

2017/5/18の動きが大きくなった背景には過去約1年前後で株価、債券、通貨がいずれも大幅に上昇していたことも影響していると考えられます。

2015年 or 2016年の安値からの戻り(2017/5/17まで)

  • ブラジルボベスパ指数:+80%
  • 10年債利回り:5%低下(債券価格は上昇)
  • ブラジルレアル:対米ドルで+35%

中長期的には割高な水準でもないと考えられるのでエントリーしても良いと思います。

以前書いたように長期で保有すればリスクはかなり低下します。

2008年に1レアル=70円で投資した人が現在の1レアル=34円台でもトータルリターンはプラスです。

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