債券・金利

東芝・タカタの高利回り円建て債券は買いか?(2017年5月時点)

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こちらのページでは東芝とタカタの社債について紹介しています。

東芝はその後、問題なく債券価格が上昇しましたが、タカタはデフォルトしました。

ミスリードになりましたが、忘備録の意味も含めてこのページを残しておきます。

超低金利の中、ディストレス社債にも注目

10年国債が0.0%~0.02%の水準で、企業が発行する社債でもほとんど利回りがでません

最近の例ではブリヂストンが合計1,500億円の社債を発行していますが利回りは下記の通り、驚くほど低い水準です。

  • 5年債:0.08%
  • 7年債:0.2%
  • 10年債:0.295%

現在、10年未満の投資適格の円建て債券では0.5%すら出ない状況です。

その中で悪いニュースが出た企業の債券は高い利回りとなっているケースがあります。(ディストレス社債)

少し前であればシャープや東京電力、現在であれば東芝とタカタがこれに該当します。

ちなみにシャープは台湾のホンハイに買収され社債は無事に償還しました。

東京電力も実質国有化され債券はクレジットリスクがほとんどないという前提の価格で落ち着いています。

残存2年で0.2%程度、残存10年で0.9%程度です。

昨年からクレジット市場を賑わしている東芝とタカタについて分析してみます。

東芝社債とタカタ社債は大きく下落

東芝社債を分析

償還日2018/5/30(残存1.1年)、クーポン0.75%、債券価格93、最終利回り7.8%

2017/3月時点で6200億円の債務超過となっています。

債務超過を解消するためのメモリ事業の売却が大詰めを迎えており、2兆円前後での売却が予想されています。

問題のウエスチングハウスはチャプター11が申請したことで追加損失が無限大に広がるリスクはなくなりました。

8000億円と言われる債務保証は履行すると発表していますが、これ以上の負担は発生しないことになります。

また債務保証は直ぐに支払うわけでなく数年かけて8000億円支払うことになります。

メガバンクは全面支援を発表していることと、原発事業は縮小するものの福島第1原発をはじめとする廃炉ビジネスは継続することになっており、国策からも完全に潰すことはできないと思われます。

よって、残存期間1年であれば投資に値すると考えます。

償還まで3年以上の債券もありますが、長いものは少し不確実性がありお勧めできません。

タカタ社債を分析

償還日2019/3/6(残存1.8年)、クーポン0.847%、債券価格67、最終利回り34%

連日、新聞紙上を賑わせており、株価の変動も激しくなっています。

債券価格はある程度デフォルトも想定した価格です。

こちらは1兆円と言われるリコール費用の扱いが焦点です。

ただし1兆円は自動車メーカーが引き当てている金額であり実際にそれだけのリコールが発生したわけではありません。

一説には多くても50%程度しかかからないと言われております。

タカタの自己資本は1500億円程度ですので、一気に請求されると支払いは無理ですが、そんなことはしないと思われます。

タカタが破綻するとエアバック、シートベルトなどの部品供給が止まり、自動車メーカーも困ります。

さらにタカタは期間損益は好調で普通に商売していれば毎年300億円以上の経常利益が上がる企業です。

それであれば自動車メーカーも協力しながらゆっくり回収すれば良いと思います。

足元のポイントは私的整理か法的整理かどちらになるかです。

私的整理なら債券は毀損しません。

法的整理の場合は毀損する可能性が出てきます。

現在、事業売却を2000億円でとのニュースがでていますが、2000億円で売却し法的整理だと若干微妙になります。

リコールが実際にどれくらい持ち込まれているかや、自動車メーカーとの負担割合によってきます。

1兆円の内30%が持ち込まれ、タカタの負担が50%なら1500億円です。

事業売却代金2000億円と自己資本1500億円と合計すれば3500億円になりますので十分社債は償還できます。(タカタの有利子負債は700億円前後)

また売却価格は2000億円よりも高くなってもよいように感じます。

そして社債は一般投資家向けですので仮に法的整理になっても現在の価格より高い回収の可能性もあります。

過去にデフォルトした日本企業と比較すると少し状況が違うような気がします。

こちらも多少リスクはありますが個人的には償還される気がします。

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