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米ドルの実質実効為替レートは高値圏(2017年4月)

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ドル円レートは1ドル=135円→110円、実質実効為替レートは横ばい

2017年4月現在、米ドルを実質実効為替レートでみると2002年2月と同じレベルとなっています。

ちなみに2002年2月のドル円の名目為替レートは1ドル=135円前後でした。

2017年4月現在のドル円の名目為替レートは1ドル=110円前後です。

米ドルは円に対して名目為替レートで当時より20%程度円高ドル安となっています。

そのため、実質実効為替レートでは名目為替レートと比べて高くなっていることになります。

ここで、「実質実効為替レート」が具体的に何を表すものかを解説します。

実質実効為替レートを分解して解説

実質実効為替レートを「実質」と「実効」に分解して説明します。

「実質」とは

「実質」とは簡単に言うとインフレ調整をするという事です。

ドル円でいうと日本はデフレ、米国は一定のインフレが発生していますので、名目レートが変化していなくても、実質的に米ドルが強くなっていることになります。

少しイメージしにくいと思いますが、購買力平価で考えるとインフレになった分は通貨が弱くなることで調整されますが、名目レートが変化しないという事は、その分通貨が強くなったということになります。

「実効」とは

「実効」とは日米などの特定の2カ国間ではなく貿易額等で加重平均した割合で複数の国の通貨との相対的な強さを表します。

よって、実質実効為替レートはその通貨の真の強さを表すことになります。

米ドルはイメージよりも強く(高く)なっている

米ドルはドル円の名目レートのイメージよりも実質的には相当強くなっていることになります。

その為、輸出企業にとっては大きなマイナスとなり実際、米国のグローバル企業の一部では業績に影響が出始めています。

それでトランプが米ドルは強すぎるという発言をして牽制することになっています。

もちろん昔と違い米国から見た場合、日本より中国やユーロ圏の影響が強くなっていますが、このような発言をされるとドル円も円高ドル安に振れます。

逆に円の実質実効為替レートは変動相場制になって以来最低の水準を推移しています。

つまり、名目為替レートで1ドル=300円前後の頃と同じということです。

実質実効為替レートで見た場合、実は円はイメージより相当な円安水準で推移をしていることになります。

もちろん、これは日本が長期に渡りデフレが継続していることが要因です。

デフレ(もしくは低インフレ)が続いたため、インフレ率を考慮した「実質」レートでかなり安い水準になっています。

そこまで円が安いのであればもう少し企業業績や景気が上向いても良いような気がしますが、なかなかうまくいきません。

もし、今後、実質実効為替レートで考えた場合の適正水準まで円が高くなると、企業業績や株式市場に大きなマイナスとなるため、注意が必要です。

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