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証券アナリストの淘汰がはじまる/役にたたないレポートは減る方向

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企業業績やマクロ経済を予想しレポートを書く証券アナリストに逆風が吹いています。

最近、欧州連合(EU)の新規制である「MiFID2」(ミフィッドツー)に関するニュースが増えていると思います。

この欧州の新規制は証券会社の有価証券売買執行業務(ブローカー業務)とアナリストの情報提供を分離し、調査情報に対する対価を明確にするというものです。

日本の多くの証券会社でもアナリストが在籍し、様々なレポートを書いており、リテール顧客向けにも提供されています。

しかし、機関投資家関連のビジネスを経験したことのない方はピンと来ないかもしれませんが、本来、証券会社がアナリストを雇用している理由は機関投資家向けの注文を取ることが第一の理由です。

せっかくレポートがあるのがだからリテールにも展開しているといった感じです。

これまで証券会社は主要顧客である年金、アセットマネジメント会社、生保等のいわゆる機関投資家に対して株式の注文をもらう為にサービスの1つとしてアナリストによる調査情報を提供してきました。

提供する情報はリテール向けにも提供している調査レポートはもちろん、機関投資家との面談、機関投資家がリクエストする様々なデータの提供などがあります。

このようなサービスをするかわりに株式売買の注文をもらい売買手数料に含めて対価を受け取っています。

欧州の新規制では株式の売買はコストの安いところに発注し、アナリスト情報などは別途、お金を払いなさいということになっています。

米国は既に独立系の調査会社が置く存在し、アナリスト情報が有料化されています。

そして、日本にも同様な動きが出てきています。

日本の証券会社も少しずつアナリストにお金をかけなくなる傾向が出てきており、逆に高速売買やAIへのシステム投資に比重をかけています。

現在、アナリストレポートは証券会社のサービスとなっていますが、今後は日本でも各アナリストが証券会社に在籍するのではなく、独立した形で存在するようになるでしょう。

そうすると証券アナリストが厳しく選別され、「役に立たないレポート」しか書けない人は淘汰されます。

現在、証券会社のアナリストランキングというものがありますが、これは機関投資家が投票して決められており、狭い世界でのランキングです。

必ずしもマーケットを的中させた人が上位に来ている訳でもないのは、日頃、データをたくさん提供している等、最終顧客の利益とは関係ないところの評価も多いのではないでしょうか。

今後、アナリスト業務が有料化されれば、本当の意味で役に立たないと評価されなくなるでしょう。

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